映画・すみっコぐらし~とびだす絵本とひみつのコ

※今回の記事にはネタバレが含まれます。


 上映当時すみっこの前評判はこぞって泣ける映画といわれていた。
 かくいう自分もすみっこくらいで泣いてたまるかと思ったが、映画のスクリーンで可愛いすみっこが動いているのを観て思わず感涙してしまった。

 すみっこたちは喫茶店の地下室で見つけた絵本に吸い込まれて絵本の世界に入ってしまうが、そこで灰色のひよこと出会う。
 灰色のひよこは自分は誰なのかどこから来たのかもわからない、いつもひとりぼっちのひよこである。
 すみっこたちはアラビアンナイトの主人公になったり、マッチ売りの少女になったり、赤ずきんちゃんになったり、桃太郎になったり、人魚姫になったりしながら灰色のひよこの家を探す。
 赤ずきんちゃんになったとんかつとえびふらいのしっぽは狼に食べられそうになるが、誰かに食べてもらいたいと願っている食べ残しのふたりは、狼に自分を食べてと身を乗り出すと、何故か狼は恐れおののいてどこかへ走り去っていった。

 食べ残しコンビのとんかつとえびふらいのしっぽが、社会から排除された社会不適応者のメタファーだとすると、ふたりを食べようとした狼は人身売買か何かだと思うが、そのような裏社会でも受け入れられなかったのは不幸中の幸いだったのかもしれない。

 いろいろな物語を行き来してる間に、灰色のひよこはみにくいあひるの子ではないかという結論になって、白鳥たちの前に灰色のひよこを連れていく。
 そのとき偶然触った仕掛けから灰色のひよこと同じ色のひよこが出てきて、白鳥になって仲間と飛び去っていった。

 灰色のひよこはみにくいあひるの子ではなかった。

 灰色のひよこはすみっこの仲間でもなければ、絵本のキャラクターでもなかった。



 なにをしてもなにかちがう

 どこにいてもここじゃない

 自分はなに?なかまはどこ?




 すみっこの絵本のぺんぎん?の話の一節だが、灰色のひよこほどこの独白が似合うキャラもいないだろう。
 灰色のひよこの正体は後述するが、灰色のひよことはまさに孤独のメタファーではないかと思う。
 みにくいアヒルの子は後に美しい白鳥に成長するが、灰色のひよこは白鳥ではなかった。

 自分は誰なのかどこから来たのかもわからない、いつもひとりぼっちだけど特別な存在でもない。

 自分の目から見た灰色のひよこは、人とはちがうけど特別な才能も何にも持たない発達障害者、自分そのものである。

 今回のすみっこの映画を観た感想としては、互いに相手を思いやることはできても、住んでる世界がちがうというのはどうしようもないという無常感である。

 自分もなかよくなりたいと思った神絵師からてんで相手にされなかったという悔しい思いをしたことがあるが、おプロさまの神絵師と、ギャラ1万の絵の仕事が年2回しかないヘタレ絵描きでは住んでる世界がちがうからしょうがないよねーと思った。

 絵本からすみっコの世界に通じる穴を見つけたすみっコたちは、皆に仲間の証である花をつけて絵本から脱出するが、すみっコたちが絵本から脱出したときに仲間の証につけた花が散っていった。

 絵本の世界のものは外の世界に持ち出すことができないのだった。

 元の世界に戻ってきたすみっこの側に、灰色のひよこはもういない。

 映画が終わった後の自分の側に、すみっこはもういない。

 絵柄は子供向けの可愛いファンシーな映画だが、努力ではどうにもならない現実の無常を感じてしまった。

 現実の厳しさを再認識させられたという点においては、前世紀に観て多いに失望させられた旧劇エヴァを上回っているのではないかと思う。

 元の世界に戻ったすみっコたちは、絵本に灰色のひよこの落書きを見つける。
 灰色のひよこは絵本に描かれた落書きだったのだ。
 すみっコたちは灰色のひよこの仲間に新しい仲間を描き加えるのだった。



 社会に居場所が無ければ他の居場所を作ればいいというのは、一見前向きに見えるが、社会に受け入れられないという根本的な問題は解決していない。
 社会に受け入れられない社会不適応者を、障害者の施設や作業所に放り込んで問題が解決したといえるだろうか。
 一見前向きに見えるが、社会不適応者の自分の目から見ると「社会に居場所が無ければ、自分で作ればいいじゃない」と突き放されたように感じた。

 ラストはもにょるとこもあったが、全体的に大人の鑑賞にも耐える完成度の高い内容の映画だと思う。
 映画の上映時間は65分で映画としては短いが、一時間とは思えないほど、密度の高い内容になっている。
 どのキャラも文句なしに可愛い。可愛くないのはイノッチのナレーションくらいだろうか(´・ω・`)
 欲をいえば、次回作があるなら、すみっこの四コママンガをそのまま映像にしたような、ほのぼの映画をオムニバス形式で見てみたいと思う。



 追記(2021年11月22日)


 すみっコぐらしの2作目の映画が公開されたので、今回は復習も兼ねて旧ブログで2019年に公開した1作目の映画の記事を再編集して投稿しました。
 去年は新型コロナで映画どころじゃなかったけど、1作目が上映されてから2年経つんですね。
 当時は日本中がこんなことになるなど、想像もしてませんでした。
 私事ですが、今月2度目のワクチン接種をしましたが、2回目の副反応も腕が痛い以外は目立った副反応もありませんでした。
 追加接種が開始される前に、コロナ終息してほしいですね。
 次回は現在上映中の2作目の映画の感想を書きたいと思います。

 それでは今日もおやすみっこ(つ=^ω^=)つニャン

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tag : すみっコぐらし

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こんばんは^^

劇場版すみっコ、予告編を見ただけで、感涙しますねぇTT
何というか、優しさが全面に目一杯押し出された様な、そんな印象を受けましたが、実際にはもっと深い作品になっているんですね@@
灰色のひよこの正体が判っった辺りになると、自分だったらもう涙腺崩壊しますねTT
これはDVDを買って、夜中に一人でこっそり観て、こっそりと泣く・・・人前では泣けないシャイな自分はこう観ます^^;

思えば自分が未だブログを続けているのも、現実の世界では居場所が無い、ネットの世界でしか居場所が無いからだと思います・・・
匿名掲示板とも、Twitterとも違う、ブログならではの世界・・・
来訪者は1日10人足らずですが、一握りの数少ないブロ友さんを大切にして行こうと思います^^

No title

おはようございます

いろんな絵本の中の主人公達の衣装を着てる
すみっこのみんながかわいいですね

かわいいキャラの見た目や雰囲気とは違って
独白でのシビアな台詞だったりラストでのどうにもならないものは
あるというのを身を持って体験したすみっこたちを見るというのは
子どもでも大人でも十分に楽しめる内容になっていますね
でも最後にちょこんと仲間をくわえてあげるというのはほっころちさせてくれますね

No title

私も劇場版を観ましたね~~。
子どもがじっくり見入っておりました。
私個人的には、物書きをしているので、分析型で見入っているので、
あまり泣くことはない・・・という元も子もないのですが。

ストレスなく観ることが出来るので、そういう方には向いている作品でしょうね。

No title

おはようございます。
すみっコはどこに居ても可愛いですね。
第2段映画が出来たのはびっくりでしたね。すみっコファンからしたら本当に嬉しい話ですね。
映画の中のワンシーンの「開けゴマー!」が「きゅうりー!」なのは受けました。ヽ(^。^)ノ

No title

ジーゲル少将、こんにちわ(^∇^)ノ♪

すみっコ可愛いですよねー(*´ω`*)
コロコロしたすみっコがコロコロ動いてるの見てるだけで、感涙してしまいました( ;∀;)
映画そのものは少将殿の思ったような映画ですよ。
セルでもレンタルでもネット配信サービスでもいいいので、是非一度ご覧になってください。
エロもグロも一切出てこない子供向けの、おまけが少々尖ったお子様ランチみたいな映画だと思えばいいです。

まーちゃんにツイッターブロックされたのがショックで発作的にアカウント消してしまったので、一度はリタイアしたブログに戻ってしまいましたが、少将と少々同じ理由で自分もブログが性に合ってますかねー。
ツイッターはつぶやくほどバカになってくイメージがあったので、ガッツリ長文書けるブログの方が自分に向いてると思います。

No title

すみっコぐらしの映画の話なのですね~。
可愛いというのも大事ですが、
しっかりとした深い内容というのもいいものですね。
特別な存在ではないのに、一人というのも寂しいものですが、
最後はすみっコ達の仲間になれたようで本当に良かったです(´∀`)
2作目の感想も楽しみにしています^^

No title

荒ぶるプリンさん、こんばんわ(^∇^)ノ♪

ですよねーすみっコ可愛いですよねー(*´ω`*)
可愛いだけじゃなくて、努力ではどうにもならないこともあるという現実の厳しさを、説教臭くならずに描いていたところもいいと思います。

灰色のひよこがすみっコたちの仲間になれなかったのは残念ですが、すみっコたちがひよこに仲間を描き加えるの優しさにははジンときましたね。

こんばんは

自分自身はすみっコぐらしグッズのお世話には
なっていませんが、可愛いと感じることに年齢制限
は無いですね。

No title

LandMさん、こんばんわ(^∇^)ノ♪

LandMさんも映画観に行ったんですねー。
すみっこ仲間がまたひとり増えてとても嬉しいです(*´ω`*)
LandMさんは理詰めで考えるタイプなんですね。
絵描きは情感で描く人が多いけど、文章書きは理詰めで文章を書く人が多いように感じます。

No title

ゆるゆるさん、こんばんにゃー( /=^ω^=)/♪♪

ですよねーすみっコ可愛いですよねー(*´ω`*)
「開けゴマ」のところ「きゅうり」なんていってたんですねー。
いかにもきゅうり好きなぺんぎん?らしいですね。

2作目の映画が作られたのは嬉しいですよねー。
自分もこないだ観に行きました。
次回の記事はすみっコの新作映画の感想を投稿する予定なので、よかったらまた見に来てくださいな。

それでは今日もおやすみっこにゃん( /=^ω^=)/♪♪

No title

ツバサさん、おはようございます\(^o^)/

そうですね、可愛いだけじゃなくて、深い内容の話なのもいいですね。
残念ながら、ひよこは絵本の外から出られなかったので、すみっコたちの仲間にはなれなかったんですよね。
人とちがうのに、特別な才能も持たないというのも、自分のようで悲哀を誘います。
今月封切りされた新作の映画の感想は次回の更新で投稿予定です。

No title

ichanさん、おはようございます\(^o^)/

そうですね、可愛いものを好きになるのに、年齢も性別も関係ないと思います。

No title

癒しの映画と思うけど、見方によってはいろんなことを考えさせるんですね。
すみっコたちが灰色のひよこに新しい仲間を描き加えてあげる。
とても素晴らしいことです。
この後灰色のひよこは元気になったのかな、なんて考えてしまいました。
元気になっていたらいいですね。

No title

ミドリノマッキーさん、こんばんわ(^∇^)ノ♪

そうですね、普通にゆるキャラの映画として見てもいいと思いますが、どこにも居場所がないひよこなど、人とちがうけど秀でた才能も持たなず社会からも受け入れられない自分そのものだと思いました。
孤独な現代人のメタファーといってもいいかも。

すみっコぐらしも元はらくがきだったそうですが、すみっコたちが出会って仲間が増えていったように、灰色のひよこにも仲間ができるといいですね。
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